HOME > 社長室 > 東京京浜ロータリークラブ例会卓話 「第28回木村準コンフィデンシャルレポート:米中半導体戦争」

東京京浜ロータリークラブ例会卓話

テーマ 「第28回木村準コンフィデンシャルレポート:米中半導体戦争」
日時 2020年8月18日
会場 グランドプリンスホテル高輪


卓話の要約

<半導体の地政学>

時代は1980から90年代、第一次半導体戦争は米国と日本の戦いだった。いわゆる日米半導体摩擦である。
時代は2000年代、第二次半導体戦争は韓国企業と日本企業がプレイヤーだった。韓国勢がDRAMとNANDフラッシュメモリーで台頭、日本企業は合従連衡を進めるが苦戦した。
第三次半導体戦争は米国対中国である。

<チョークポイント>

地政学の視点から言えば、半導体は「チョークポイント」。
チョークポイント:地政学の要衝、海洋国家におけるホルムズ海峡、マラッカ海峡やスエズ運河。
米国の焦燥:技術の覇権を奪われる。
中国の焦燥:半導体は輸入に依存している。85%を輸入。
米中が奪われたくない「チョークポイント企業」とは?
  • 〇メモリー最大手:韓国のサムスン。半導体受託製造最大手:台湾のTSMC。半導体設計:英国のarm。半導体製造装置:オランダのASML等々。
  • 〇日本ではシリコンウェハー最大手:信越化学。半導体製造装置の東京エレクトロン等。

<TSMC:台湾積体電路製造>

チョークポイント企業の中でも台湾のTSMCの動向が注目を浴びている。
半導体受託製造(ファウンドリー)の世界最大手。米国アップルなどのハイテク企業が開発した半導体を最先端の技術で製造する。売上高:3.8兆円(2019年12月期)。
TSMCは半導体受託生産では世界の5割のシェアを握る。2位はサムスンの18.5%、3位は米国グローバルファウンドリーズの8.3%、中国はSMICが第4位で4.4%。
TSMCの地域別売り上げは米国が60%程度、中国は25%程度。
TSMCは中国市場を捨てる覚悟だろうか?

<米国が半導体大陸に戻る>

TSMCは米国アリゾナ州フェニックスに新工場を建設開始。米政府の支援を獲得し、インテルとの協業計画も進行している。
米国インテルはアリゾナ州チャンドラーに半導体工場を持っているが、アリゾナ工場の一部設備をTSMCに提供し、製造委託する可能性がある。
それに対して韓国サムスンはテキサス州オースチンに工場を持ち、製造委託を強化している。米国のハイテク産業や航空・防衛産業の需要を巡ってTSMCと競っている。
米国がまたシリコンコンチネント(半導体大陸)に戻ったようである。

<日本の対応>

1988年日本の半導体はピーク、世界シェア52%、現在7%。
日本の半導体企業の1位は旧東芝メモリー(現:キオクシャ)、2位はルネサス、3位はソニー。
ソニーは画像センサーの世界シェア50%以上を有する。チョークポイント企業。
パワー半導体日本勢20.6%のシェアを保持。三菱、東芝、富士。1位はドイツ26.4%。
硝煙立ち込める世界の半導体産業、米中の覇権争いも絡んでくる。果たして日本は戦局を見極める事ができるだろうか。