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田中幹夫南砺市長後援会(総会基調講演)

テーマ 「北東アジアの核戦略」
日時 2010年10月30日
会場 福光農協中央会館


卓話の要約

<質問:北東アジアの核配備>

* 「日本周辺の北東アジアにおいて、核を配備し、核戦略を展開している国家はどこであろうか?四つの国をあげろ」という質問が出たら、皆さんはどのように答えるだろうか?
* 北朝鮮、中国はすぐ出てくる。三番目の国家名はロシアと出てくる人もいるだろう。しかし四番目が難しい。

<中国:40発以上の核が、日本に照準を合わせている>

* 中国は1966年に核搭載中距離弾道ミサイルDF-2を配備し、この時から日本に核の照準を合わせている。
* 1971年に中距離弾道ミサイルDF-3を配備し、1987年に固形燃料の中距離弾道ミサイルDF21を配備している。
* 1997年米国防総省は軍事偵察の結果、「中国と北朝鮮国境近くに24発の、日本に照準を合わせた、中距離弾道ミサイルが配備され、そのうち16発は固形燃料のDF-21である」と報告した。
* 1997年に日本のある大学教授が人民解放軍・国防大学を訪問、教授9人に質問したところ、9人は24発の核搭載ミサイルが日本に照準を合わせている事をあっさり認めてしまった。
* 1999年米国防総省のスタッフ10名程が訪中し、中国軍関係者に同じことを確認した。
* カナダで発行されている、中国語の雑誌 「漢和防務評論、4月号」山東省莱蕪市に日本に照準かけた中距離弾道ミサイルが配備されていることを明らかにした。
* 台湾の対岸の福建省近辺に短距離弾道ミサイルDF11やDF15が一千発以上配備されているが、「この地域に日本を照準にかけた中距離弾道ミサイルが配備されている」という情報がある。
* 中国は中距離弾道ミサイルを60-80発配備している。そのうち40発以上は日本に照準をかけていると推定できる。
* また、「福建省近辺配備の短距離弾道ミサイルを、ブースター等で射程延長している。そのミサイルで沖縄や日本の南部を射程にかけている」という情報もある。

<北朝鮮:300発近い中距離ミサイルが日本に照準を合わせている>

* 「北朝鮮は二回目の核実験(09/5/25)を成功したと見られる。実験の爆発力は小型で、5ktと推定されている。これは広島型の3分の1である。
* 国際シンクタンク「インターナショナル・クライシス・グループ」の研究員は09年4月1日、米韓情報当局の話として、「北朝鮮が中距離弾道ミサイル・ノドンに搭載するレベルまで、核弾頭を小型化する技術を保有している」と報告した。
* しかし一般的には「核弾頭化はまだ確認をされていない」と思われている。
* もし核弾頭を所有しているとすれば、過去のプルトニウムの生産量から、6~10個所有していると見られる。
* 北朝鮮は長距離弾道ミサイル・テポドン2を20発程所有していると見られる。
* 中距離弾道ミサイル・ノドンは、ほぼ日本全土を射程に収めているが、150~320発所有していると推定される。この種類の中距離弾道ミサイルはほとんど配備され、日本に常時照準をかけていると推定される。
* 先日の北朝鮮軍事パレードで登場した、ムスダンという新型中距離ミサイルは、日本のみならず、グアムやアラスカも射程におさめ、15~20基が配備されていると見られる。
* 北朝鮮は韓国を射程に収める短距離ミサイルとして、スカッドを大量に配備しているが、「一部は射程を伸ばして日本の南西地域に照準をかけている」という情報がある。
* 推測される核弾頭の数は限られているから、日本に向けたミサイルにはほとんど通常、爆弾の弾頭が積まれているが、「生物・化学弾頭も積まれている」という情報もある。

<米国:トライデントミサイルは北京に照準を合せている>

* 冒頭のクイズの正解は、アメリカ合衆国である。
* 米海軍はオハイオ級の弾道ミサイル潜水艦(SSBN)を18隻所有するが、其の内8隻を太平洋に配備している。
* 8隻のうち3隻は常時日本周辺で活動し、水中発射のトライデントミサイルで、中国、北朝鮮の主要都市や、軍事施設に照準を合せている。
* オハイオ級ミサイル潜水艦は24発のトライデントミサイルを搭載し、それぞれのミサイルは10個の多核弾頭を装着している。
* 水中発射されたミサイルはネブラスカ州の戦略軍司令部が誘導し、北京へは15分以内で、到達する。その誤差は1万km飛んで、130mと言われている。
* 近年4隻のオハイオ級潜水艦が改造され、特殊潜水艦SSGNとして、巡航ミサイル発射管や特殊部隊用装置を備えている。
* 米国のミサイル潜水艦が中国や北朝鮮に、常時照準をかけている、核弾頭の数は 3×24×10=720発。それに対し、中国と北朝鮮が日本に照準をかけている核ミサイルの弾頭数は、50発程と見られ、核バランスは、720対50で圧倒的に米国優位である。
* 日本は米国と軍事同盟を結んでいるわけだから、中国と北朝鮮の核配備を一方的に非難することは、必ずしも適切ではない。