HOME > 社長室 > 2009年 新春インタビュー 木村社長に聞く 「未曾有の危機を迎え撃つ」

2009年 新春インタビュー 木村社長に聞く 「未曾有の危機を迎え撃つ」



<金融危機>
リーマンショック

サブプライムショックから、リーマンショック、そしてトヨタショックと昨年はショックの連続でした。

社長 最も重大なショックは昨年9月15日のリーマンショックでした。なんでリーマンを潰したのでしょうか? 謎ですが、潰して も大丈夫とポールソン財務長官は考えたのでしょう。そして9月29日、米下院は金融安定化法案を否決しました。その後どんどん株価は下がり、10月28日 には日経平均が26年ぶりに、7000円を割り込みました。

日経平均株価

その後実体経済へショックが移行します。

社長 米国のビッグ3、日本の自動車産業、今、日本の電機産業にショックは移行しています。日本は円高の影響もあり、実体経済へのショックは震源地米国より、震度が大きいようです。10-12月期は年率換算マイナス10%のGDP成長率になるのでは、と言われています。

米国・実質GDPの推移

マクロに見て、この経済危機をどのようにお考えですか?

社長 日本経済は、6-7年好況が続きましたが、米国はさらに20年近く好況が続きました。好況が長ければ、その後の落ち込みも大きいはずです。

割と当然の成り行き、という感じですか。

社長 そうです。長く引き伸ばしたカラクリがあります。そのカラクリに限度がきたという事でしょう。どこかで早めに制御して、ソフトランディングさせたら、よかったのですが、どうもハードランディングになってしまったようです。

カラクリとはなんですか?

社長 ひとつは金融バブルですが、ここ数十年の世界経済は以前と大きく変化してきている事に注目するべきです。バブルが起きやすく、しかも起きれば、極めて大きなものになる。原因は、金融のIT化とマネーを過剰に発行したことだと思います。これにカラクリが加わっています。カラクリとは、中国と米国の経済関係も含まれますが、住宅バブルを金融バブルで膨らませたことです。しかし、金融のIT化がカラクリのベースにあるのでは、と思います。変化した資本主義は従来のケインズ的な手法ではコントロールできないのです。強欲資本主義とか言って、倫理の問題にする論調が目立っていますが、私は倫理の問題でなく、経済学や経済政策の問題だと思います。バブルが起きたら、適当に抑えてソフトランディングさせればよいのです。ただそのタイミングがなかなか難しいのでしょう。リーマンを潰したのはタイミングが遅すぎました。結果論ですが、もっと早く抑えとけばよかったのです。

<窮すれば、通ず>
「窮すれば、通ず」

企業として、このような危機にどう対処すればよいのでしょう?

社長 よくこういう時に経営者は「窮すれば、通ず」という言葉を持ち出します。先日、「じつは、本当は、この言葉はもっと長くて、窮すれば変じ、変ずれば通ず、が正解なのです」と言っていた経営者がいました。この言葉はバブルがはじける状態をうまく言い当てているかもしれません。

バブルがはじければ、新しい変化が生まれ、新たな流れが始まる、というような事ですか?終わりであるけども、新たな始まりである、という事でしょうか?

社長 混乱を乗り越えれば、そこに、チャンスがある、と言う事です。この言葉は中国の古典、易経に出てくる言葉ですが、本当はもっと長いのです。「易は窮まれば変じ、変ずれば通じ、通ずれば久し」が本当の文章です。
「易経」

易経というのは、いつごろの本ですか?

社長 BC700年ごろの本で、中国の古典の中では、一番古いとされています。本文と解説でできていますが、解説は比較的新しく追加されたと言われています。この本の根底を成す哲学は、陰陽論だと思います。

<陰陽論>
相補性・ボーアが好んだ太極図

以前、陰陽論と量子力学との関連を話されたのを聞きましたが・・・

社長 ニールス・ボーアという量子力学の学者が、陰陽論が大好きで、相補性という量子力学の概念を、陰陽論の類似に注目しましたが、私はあまり関係ないと思っています。たぶんニールス・ボーアは陰陽論をちゃんと勉強しなかったのでは、と思います。自然界では陰陽論は当てはまらないけども、人間界では、ある程度は当てはまる、と思っています。人間界というのは、自然界のように理路整然としてないので、適当な物でも通用します。

小林・益川理論

昨年ノーベル賞を受賞した、小林・益川理論では、物質と反物質の話が出てきますが、これは陰陽論と関係ありますか?

社長 どうでしょうか??ビッグバンの直後は物質と反物質が存在していたのですが、今は、自然界には反物質が存在しない、ということですから、宇宙は陰陽でできてないことになりますね・・・どうも宇宙は、陰陽という構造ではできていないようですね。私はたぶん天動説がひっくり返ったときに、陰陽論はひっくり返ったのではないかと、思っています。陰陽論の根拠の大きなものは、天と地の存在ですから・・・天が陽で地が陰です。

閉塞突破

スーパーカミオカンデの話と小林・益川理論は関係ありますか?

社長 カミオカンデはニュートリノという素粒子の話で、小林・益川理論はクオークという素粒子の話ですから、別物でしょう。かれこれ10年前ぐらいに高エネルギー加速器研究機構を見学したことがあります。当時「長基線ニュートリノ振動実験」というプロジェクトをこの研究機構でやっていました。筑波市の高エネルギー加速器研究機構で発生させたニュートリノを岐阜県神岡町のスーパーカミオカンデに発射する実験です。そのときついでに建設中のBファクトリーという加速器をみせてもらいました。このマシンが、今回のノーベル賞の受賞に大きな役割を果たしているのです。小林・益川理論の実証を行ったのが、このBファクトリーです。単なる仮説ではノーベル賞はとれません。実証しないととれません・・・でも実証が大変なのです。金がべらぼうにかかりますし、動員する学者の数も並大抵のものではありません。