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トップインタビュー

文明と情報技術の融合を確立し独自の『電脳共同体』を目指す

市場開拓型企業が進めるマルチなグループ化戦略

多数の企業からなるJRMグループの現在までの経緯をお伺いいたします.

木村 1935年,東京品川区にグループの母体となる抵抗器研究所が設立され,43年には富山県城端町に日本抵抗器製作所を設立して製造工場が完成しました.戦後,東京に分工場を建設しJIS工場の指定を受け,産業界の発展と歩調を合わせ業績を伸ばして基盤が築かれました.64年には東証第二部に上場を果たしています.成長期の多角化で製品の種類や数量が多くなり,販売先も全国規模に広がっていきました.さらに,電子機器やソフト,ハード分野への進出に伴い,単体での経営に無理が生じてきたのです.そこで企業文化は共有しながら,事業単位で機動的に動ける分社化をしていこうと,まず,製造部門と販売部門に分け,さらに専門分野別に分かれるといった具合で,現在に至っているというわけです.

分社化・グループ展開のメリットはどこにありますか?

木村 特徴を際立たせて発展させることができることです.分社に当たっては当初からグループ機能を支える情報化に着目し,メールやファイル転送は10年前から行っています.

JRMグループの基幹部門は何でしょうか?

木村 部門を設定するのは大変難しい.強いていえば60年間の間に築かれてきた市場開拓型の企業風土自体が基幹ではないでしょうか.

市場開拓型企業としての実績をお伺いします.

木村 製品分野別では電子機器複合商品,高密度実装電子回路,センサーおよびポテンショメーター,ヒーターおよび抵抗器の4つのカテゴリーになります.用途向けの特殊製品が開発され,独自の製品グループを構成しています.売上げでいえば,ハイブリッドICなどの特殊な電子回路製品が大きいといえます.

「cyber geminde」に込めたJRMグループの未来像

JRMグループ共通の経営指針とは何でしょうか?

木村 私は全グループの年度方針として「電脳共同体(cyber geminde)」を目指すと宣言しました.伝統技術と先端技術の融合を追求する新しい理念が必要だと考えたからです.cyber gemindeという語を用いたのも,強固な共同体を意識しているからなのです.社内報に“キムヒトの唯石論”と題した一文を発表しました.名前がひとしなので若い社員から“キムヒト”と呼ばれて,スターのようで気に入って使っているんです.

“キムヒトの唯石論”とは,ベルリンの壁が崩れたのも,中国やベトナムが資本主義化しているのも,円高が進行して日本が空洞化するのも,ビルゲイツが大金持ちになったのも,すべて『石』のせいであるというものです.『石』とは,産業の米IC,集積回路を差します.さらに,私は時代を『文明,近代,ネットワーク』という3つのレイヤーで考えていて,ネットワークが進めば世界が均質化して文明がなくなるという意見は問遺いだと考えています.確かに近代は崩されていくでしょうが,かえって宗教や民族主義が吹き出してくる.

そこで,JRMの進むべき方向は,長い年月に培われてきた伝統技術と未来思考の先端技術をいかにして融合させて,新しい技術世界を切り拓くかというところにあると考えているのです.

理念に基づく変化の方向はどのようにお考えですか?

木村 内蔵チップが製品自体にネットワーク機能を付与する“ネットワーク化技術”はまったく新しい世界を拓きます.当社の住宅機器である温水洗浄便座もネットワークの中で使用されるようになります.家庭内の機器がネットワーク化され,A.トフラーのエレクトロニックコッテージが現実になるでしょう.産業,社会がその方向に猛烈に走り出しています.この『波』に乗り遅れては企業の未来は有り得ないと思いますね.

ネットワーク時代だから多様な個性の結集が必要

新しい世界をJRMが切り拓くためには,何が必要なのでしょう?

木村 私は若い頃にシカゴのベンチャー企業で先端技術の事業化を経験しました.ここで学んだことは,過去の手法では革新性は生まれないことです.当社に入ったとき独自にSPA(ストラテジック・プロブレム・アナリシス=戦略的問題分析)システムを開発して全社に導入しました.これは従来の思考パターンから脱し,柔軟性をいかに引き出すかという哲学です.当社の伝統である進取の気性の素地に戦略哲学を搭載したわけです.じっくり熟成してきましたから,今後当社には急激な変化起きてくるはずです.

今後,展開する分野は?

木村 ずばりネットワーク化技術です.あらゆる製品がネットワーク上で結び付くことになります.電子決済の実験の行方などを注視しながら,この分野でJRMグループとして総力が活かせる新しい事業展開の開拓に取り組んでいます.

そうなるとスペシャリストの集団が必要になリますね.

木村 そうですね.しかし,実務に必要なのは人間関係のスキルの高さであり共同体意識.当社では技術は業務の一部であって,市場性や製造ライン,生産コストなどトータルゲームとしてオールラウンドにこなせる能力を評価します.ですから人材も幅広い感性の持ち主を求めています.もっともグループの全員が先端技術を応用して製品を開発し,販売しているのですから,入社してからスペシャリストになっているともいえます.当社では電子メールアドレスを全社員が持っていますから,どの立場の人間もインターネットを使えることが仕事の前提です.自由な発想は過去にとらわれない感性の若い人から生まれます.自分の夢実現のために持てるカを,大いに発揮していただきたいですね.