HOME > 社長室 > 東京京浜ロータリークラブ例会卓話「第7回木村準コンフィデンシャルレポート:北朝鮮クライシス

東京京浜ロータリークラブ例会卓話

テーマ 「第7回木村準コンフィデンシャルレポート:北朝鮮クライシス」
日時 2006年10月31日
会場 高輪プリンスホテル


卓話の要約

<地下核実験実施:中国が豹変した>

 10月9日午前10時35分、北朝鮮は核実験を実施した。その後の各国の外交はめまぐるしいものがあった。中国の唐国務委員は 10月11日から、米ロを訪問した後、10月19日平壌を訪問、金総書記と会談した。この会談は相当詰めた内容のものだった。唐国務委員はこのままでは、中国が制裁を実行せざるを得ない事を、強く伝えるとともに、問題解決の労をいとわない事を伝えた。そして、具体的な問題点を詳細に話し合った。金総書記からの新提案も出されたが、解決の糸口はすぐには見つからず、会談後唐国務委員は、直後に北京で予定されていた、六カ国外相会議は開催できない事を、電話で本国に伝えた。
 一方各国を訪問したライス米国務長官は、確実な制裁の実行を強く各国に迫った。そして中国は、主要銀行が一斉に北朝鮮への送金を停止し、中朝国境のトラックの貨物検査開始し、本気で北朝鮮に圧力をかけ始めた。しかし、中国の豹変は、必ずしも米国の圧力によるものではない。中国そのものが北朝鮮の核を強く警戒しているからである。特に軍が警戒しているのは、北東アジアにおける中国の核の独占による、軍事的優位が崩れることである。北朝鮮が核を持てば、日本、韓国、そして台湾が核を持とうとする。それが怖いのである。中川政調会長の核保有に関する発言は、外交的には見事に功を奏している。

<ミサイル連射:日本への脅威>

 核実験の約三ヶ月前、7月5日北朝鮮は七発のミサイルを日本海に連射した。三発目はテポドン2でハワイ方面を狙ったが、失敗したといわれている。他の六発はスカッドとノドンと見られている。ノドンは日本列島をスッポリ射程に入れる弾道ミサイルであり、北朝鮮は 200~300発保有している。スカッドは短距離ミサイルだが、今回発射のスカッドは射程を伸ばして、日本の日本海側や、大阪を含む南日本を射程に収めているという説がある。スカッドミサイルは北朝鮮が量産体制に入っているミサイルで、中東やパキスタンに一発二億四千万円で数多く輸出実績がある。
 核の弾頭化にはまだ時間がかかるが、核の弾頭化とプルトニウムの核開発に成功すれば、数百発の核弾頭付弾道ミサイルが日本を狙う事となる。もし発射されれば、日本国は跡形も無く消滅する。
 北朝鮮が核弾頭化に成功する時までは、日本は安全かというと、そんなわけではない。有毒ガスや細菌を兵器とする、生物化学弾頭は多数すでに保有しているとみられる。生物化学弾頭を積んだスカッドやノドンが数百発日本に落ちても、相当の日本人が死ぬこととなる。

<米国にとっては、なんの脅威でもない>

 金融制裁に困り果てた、北朝鮮は、本年春ごろから、低姿勢で米国にたいし二カ国協議を求め続けてきた。しかし、米国はそれを拒否した。また、北朝鮮は中国に仲介を求めたが、中国は腰を上げなかった。そして、ミサイル発射と核実験へと事は進んで行った。
 ミサイルが発射されても、核実験が行われても、米国は別段何も驚いてはいない。第七艦隊、原子力潜水隊、太平洋空軍、グアムの長距離爆撃部隊いずれも「デフコン5(def-con5)」つまり通常の警戒態勢のままである。米国まで届くテポドン2は失敗し、ミサイル射程は日本とまりで、米国にとっては、北朝鮮は何の脅威でも無い。驚いているのは、日本であり、韓国であり、そして中国である。北朝鮮への対応は中国に汗をかいてもらい、米国は一歩下がって疲れる事はやめよう。これが米国の姿勢である。米国の関心は中東であり、石油の出ないアジアではない。
 中間選挙で共和党が敗北すると、焦点は大統領選挙となる。大統領選挙で民主党が勝とうが、共和党が勝とうが、米国外交はネオコン路線から、米国が大事という、モンロー主義的なものに変化せざるを得ない。更に北東アジアは中国に任せよう、という方向に流れる可能性もある。日本にとって、それはどのような事なのだろうか?