HOME > 社長室 > 東京京浜ロータリークラブ例会卓話「第6回木村準コンフィデンシャルレポート:続・中国は現実的脅威なのか?」

東京京浜ロータリークラブ例会卓話

テーマ 「第6回木村準コンフィデンシャルレポート:続・中国は現実的脅威なのか?」
日時 2006年05月16日
会場 高輪プリンスホテル


卓話の要約

<中国の核は正当である>

 中国が多数の核ミサイルを配備し、日本に照準を合わせている事は、日本にとっての脅威ですが、かといって、それだけで中国が不当なわけではありません。日本海にずらりと並んだ、米海軍の核ミサイル潜水艦は圧倒的に優勢な力で中国の各都市、施設に照準をあわせています。その米国と軍事同盟を結び、国内に米軍基地を置く日本国に、核の照準を合わせる事は、中国にとっては、至極当然のことです。

<通常戦力で劣勢な中国は、核で日本を押さえる必要がある>

 中国の通常戦力が日本より劣る事は、(使い物になる)戦闘機の数の比較と、対潜水艦攻撃力を示す、対潜哨戒機の数で説明がつきますが、早期警戒機や、次世代戦闘機の配備、米軍の支援等を考慮すれば、日本の優位はさらに明白です。通常戦力で劣る中国は、核戦力で、確実に日本を押さえる必要があります。ちなみに台湾も日本と同様な立場にあります。通常戦力では台湾より劣勢な中国は、台湾対岸に800発余りの、核ミサイルを並べて対抗しています。

<進歩するミサイル防衛>

 ミサイル攻撃を、防御するMD(ミサイル防衛)が一歩進んできています。多弾頭核に対抗する、レーダー、「Xバンドレーダー」が米軍により、青森県の車力に配備される事が決定されました。また、最新迎撃ミサイルSM-3ブロック1搭載の米海軍イージス艦シャイロも、8月横須賀配備が決定されました。自衛隊は最新迎撃ミサイルSM-3ブロック1を36発購入することを決定し、次世代型追撃ミサイルSM-3ブロック2も、日米で共同開発中です。ミサイル防衛は進歩しつつあるのですが、まだ、不完全で、かつ膨大なコストがかかります。

<核武装論>

 核武装論とは、「核武装し、核抑止力を持った方が、確実で安上がり」という考えです。昨年12月麻生外相はラムズフェルド国防長官との会談の際、「中国や北朝鮮が脅威になれば、日本は核武装すべきではないか」と発言しました。軍事評論家の兵頭二十八は著書「ニッポン核武装再論」で、宇宙航空開発機構のロケットに核弾頭を搭載し、水上艦より発射することを提案しています。また、政治アナリストの伊藤貫は著書「中国の核が世界を制す」で、核弾頭付き巡航ミサイルを、小型駆逐艦や潜水艦に搭載し、30隻程を配備する、という考えを述べています。ちなみに石原慎太郎は「核武装も検討すべき」と言っていますが、核武装の必要性を言明してはいません。昨年私の参加する勉強会に出席した石原慎太郎は、同席した自衛隊幕僚監部の将官達に、「このままでは、日本国は溶解する、なんとかいい知恵を出してくれ」と懇願していました。

<冷却する米中関係:米軍の中国シフト>

 4月の米中首脳会談を評して、ある評論家は「日本は取り残される」と言いました。会談の実情はそんなものではなかった様です。事前折衝の段階で、米中に深い溝が出来てしまいました。事前折衝で中国は台湾について「併合が終われば中国は軍事力の増強もやめるし、アジアを軍事的に独占する体制もやめる」と申しいれましたが、ブッシュは聞く耳をもちませんでした。中国の国賓待遇の要求も、礼砲21発は受け入れましたが、晩餐会は米側が拒否してしまいました。6月の小泉訪米では、小泉首相は国賓として扱われ、晩餐会が開かれるはずです。米中関係は政冷経熱が益々進み、軍事的には米軍の対中国シフトが加速することとなります。中国の脅威の要因は、「軍事能力」や「意図」にプラスして、米中関係等の「戦略的環境」もまた重要なものなのです。