HOME > 社長室 > 東京京浜ロータリークラブ例会卓話「第5回木村準コンフィデンシャルレポート:中国は現実的脅威なのか?」

東京京浜ロータリークラブ例会卓話

テーマ 「第5回木村準コンフィデンシャルレポート:中国は現実的脅威なのか?」
日時 2006年02月21日
会場 高輪プリンスホテル


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卓話の要約

<前原発言の波紋>

 民主党の前原代表が、中国の軍拡を「現実的脅威」と呼びました。これに対し批判が続出しましたが、前原代表は、昨年末の民主党定期大会において、持論を貫き通しました。批判の論拠の一つは「軍事力を拡大しているが、日本を攻撃する意図が見当たらない」というものです。「能力」はあるが「意図」が定かでない場合は、「潜在的脅威」と言えるけども、「現実的脅威」とは言えない、というものです。この発言を契機に「中国は現実的脅威なのか?」という、熱い議論が展開されています。

<通常戦力では日本が優位>

 自衛隊は新型戦闘機F15,F2を252機保有しています。これに対して、中国空軍は新型戦闘機スホイ27,30を 245機保有しています。スホイ27は航続距離等の性能が多少落ちますので、戦闘機では、自衛隊優位と解釈できます。参考のため、台湾空軍はF16にミラージュ2000を加えて、新型戦闘機331機保有しています。また、現在中国海軍は55隻以上の潜水艦を保有しています。これに対して自衛隊は潜水艦を 16隻しか保有していません。しかしながら、自衛隊は対潜哨戒機P3Cを99機も保有しています。したがって、潜水艦戦力も決して中国海軍は優位に立ってはいません。この様に通常戦力では、中国の軍事力は決して、「現実的脅威」の域には達していません。

<中国の核は日本に照準を合わせている>

 通常戦力で「現実的脅威」でなくても、問題は核戦力です。中国軍は1971年に核搭載中距離ミサイルDF-3を配備して、この時から日本に核の照準を合わせています。1987年には固形燃料の中距離ミサイルDF21を配備しています。1997年米国防総省は軍事偵察の結果、中国と北朝鮮国境近くに24発の、日本に照準を合わせている、中距離ミサイルが配備され、そのうち16発は固形燃料のDF-21である、と報告しました。 1997年に日本のある大学教授が人民解放軍・国防大学を訪問、教授9人に質問したところ、9人は24発の核搭載ミサイルが日本に照準を合わせている事をあっさり認めました。1999年米国防総省のスタッフ10名程が、訪中し、中国軍関係者に24発の日本への照準を確認しました。民主党の前原代表も(中国政府のシンクタンクの)中国社会科学院で外交・安全保障の専門家と議論したとき、中国側は『日本を射程に入れたミサイルを持っている』と述べたそうです。

<台湾対岸、多数の核ミサイルも日本に照準を合わせている>

 米国防総省の報告書は中国軍配備の中距離ミサイルの数は、33~41発と報告していますが、昨年の日本の防衛白書は、合計 110基保有している、と述べています。この差は一体何なのでしょうか?台湾の対岸福建省に短距離ミサイルDF-11,15が700発程配置されています。この内の一部が射程を延ばして、中距離ミサイルの射程距離に達して、日本を照準している、と言われています。しかし、台湾対岸にDF21を配備しているという報告もあります。防衛庁の白書は、台湾対岸にDF21の配備、という立場に立っているものと思われます。いずれにしろ、50~100発程の核ミサイルが日本に照準を合わせていると推測されます。

<潜水艦発射の核ミサイルこそ最大の脅威>

 しかしながら、今後日本にとっての最大の脅威になるのは、潜水艦発射の核ミサイルです。中国は昨年JL2という潜水艦発射の核ミサイルの発射実験に成功しています。JL2搭載の新型原子力潜水艦は近年中に4~6隻配備されるでしょう。その内の数隻は日本海や太平洋で日本に照準を合わせると推測されます。数十発の核を日本に照準を合わせ、そして核ミサイル搭載の原子力潜水艦を配備しようとしている中国、どうしてこれが、「攻撃の意図が見当たらない」と言えるのでしょうか?これを「現実的脅威」と言わず、何と言えるのでしょうか?