HOME > 社長室 > 2003年 新春インタビュー 木村社長に聞く

2003年 新春インタビュー 木村社長に聞く



富山から高山への国道41号線が「ノーベル賞街道」と言われているそうですが・・・

社長 神岡町のスーパーカミオカンデは5年前ぐらいに、荒井常務や久保本部長と一緒に見学した事があります。今回の小柴博士の受賞理由は「宇宙ニュートリノの観測」ですが、今後さらに2、3人のノーベル賞受賞がこの装置から生まれる、といわれています。「ニュートリノに質量があること」を検証したのが「宇宙ニュートリノの観測」につづくこの装置での発見なのです。これがまた大発見で、「標準模型」という物理学の定説をひっくり返してしまうのです。

スーパーカミオカンデ 標準模型
スーパーカミオカンデ 標準模型

「標準模型」というのは?

社長 われわれの住む宇宙の物質、力や質量の根源となる素粒子像を表す理論です。物質は12種類の素粒子から成り立っていますが、ニュートリノはその一種です。標準模型理論によれば、ニュートリノは質量がゼロのはずなのです。  標準模型理論は、我々の世界観に重大な影響を与える物理理論ですが、もうひとつの理論が「膜宇宙論」です。この理論によれば、我々の住む4次元宇宙は11次元宇宙の無限にある膜の一枚にすぎません。  宇宙規模のSPA(戦略的問題分析)ということを言ったことがありますが、究極のSPAとはこんなところに行き着くのです。

個と環境というSPAモデルを広げるとそこまで行き着くということですね。宇宙規模の話はさておいて、地球規模では昨今はどんなものでしょうか?

社長 米国経済を見ますと、消費が良好で、02年は成長率が上がりましたが、さらにバブルがはじけて相当落ち込む可能性があるわけです。さらにバブルが崩壊して、日本のような状況に陥るのか?新たな成長に移るのか?ニューエコノミーが試されているのです。

イラク問題という新たな危険もあります。

社長 戦争はやってみなけりゃわかりませんが、私は短期で終わると思いますので、一時的な問題はありますが、経済への影響は大して無いと思います

日本経済はどうでしょう

社長 米国経済が回復しても、日本経済のデフレ不況は難しい。バブル崩壊から継続している資産デフレと、空洞化によるデフレ、という二つの要因に基づく、構造的デフレに落ち込んでいますから。

日米株価
日米株価

世界同時デフレともいわれていますが、この辺をどのように見ていますか?

社長 社会主義国、特に中国が資本主義社会の競争の中に入ってきたことが、大競争時代を生み出し、世界同時デフレを生み出しているわけですが、米国型のニューエコノミーで、空洞化やデフレを逃げ切ればよいわけです。しかしまだニューエコノミーが熟していないとすれば、逃げ切れずに、バブル崩壊とデフレの落とし穴に落ち込んでしまうわけです。これは米国の場合ですが、日本は米国のように、ニューエコノミーの社会構造になっていませんから、いまから構造改革を行っても、泥棒が入ってから縄を綯っているようなものです。

お兄さんができないことが、弟にできるわけがない、ということですか?

社長 しかし、今できなくても、将来はできるかもしれない。あきらめることはありません。執拗に追求していくことです。それしか道はありません。

そのような状況の中で、JRMグループはどのように針路をとるのでしょうか?

社長 日本経済の変化や電子産業の変化に呼応するように中期的に売り上げが減少しています。やはり、JRMの直面している問題は、日本の直面している問題と共通していると考えています。したがって、デフレ、空洞化対応が、企業としても最重要課題になると思われます。対応策は、海外生産と研究開発です。海外生産で、国際市場に出て行く必要があります。同時に国内生産可能な付加価値のある製品を開発、生産していく必要があるわけです。私は、海外生産を陸上作戦、国内生産あるいは開発を航空作戦といっています。どちらの作戦も米国がイラクを攻撃するような、圧倒的兵力での作戦ではありません。むしろベトナム戦争のようなゲリラ戦の様相を帯びています。難しい戦いですが、勝ち抜かなければいけません。

1992~2003年における電子工業生産金額推移
1992~2003年における電子工業生産金額推移

国際経済の話はすでにでましたが、国際政治はいかがでしょうか?イラク問題、北朝鮮問題と大きな問題がおきています。

社長 今の国際情勢を考える場合、重要な視点が二つあります。ひとつは、テクノロジーの問題で、もうひとつは歴史的視点です。 米国がベトナム戦争以後、継続して進めてきたのは、兵器のハイテク化、IT化です。米国が通常戦力で優位に立ったのは、70年代後半、F14、F15、 F16のIT化された戦闘機や巡航ミサイルが開発配備されてからのことです。80年代後半には、精密誘導爆弾が開発、配備されました。これらのIT化された兵器は米国の通常戦力を、急速に圧倒的なものにしてしまいました。 冷戦終了後、世界はどうなるか?という問題が論じられたとき、「二極化から多極化へ移行」とも言われた時期がありました。しかし、実は核戦力にプラスして、通常戦力での圧倒的な向上で、米国の一極支配(パックスアメリカーナ)が確立してしまったのです。 これを歴史的に見ると、石炭が経済資源の時代が、英国の世界支配の時代でした。戦後、石油が経済資源となったとき米国の世界支配が始まりました。そして、情報が資源のIT化の時代に、米国の世界支配は競争者ソ連を蹴落として、ゆるぎないものになりつつあるのです。このような背景の理解の上で、イラク問題や北朝鮮問題を考えないと、とんでもない間違いを起こします。

トマホーク JDAM GBU-31 GPS誘導型精密誘導爆弾
トマホーク JDAM GBU-31 GPS誘導型精密誘導爆弾